2021/06/02 19:35

先日第36回良い食品づくりフォーラム大阪が無事終了。
フォーラムの楽しみの一つに先生方の講演があります。

今回は「磯焼けを海中林へ~故郷の自然を守る」と題して東北大学名誉教授谷口和也先生のお話を聞くことができました。
気仙沼大使にも選ばれている谷口先生は、40年にわたり仲間と一緒に海中に潜り、調査と研究を重ねてきた実践派の貴重な先生です。

海中林とは、山や森林があるように海の中にも森林があり(10~30m位までの比較的浅い海)昆布、ワカメ、ホンダワラ、アラメ等が生い茂った海草群のことで、アワビ、サザエと一緒にエビ、カニ、イソギンチャク、ゴカイ等々とそれを食べにくる魚たちとラッコやアシカも棲息し豊かな海を育んでいます。

1800年代に進化論を提唱したチャールズ・ダーウィンが海中林の素晴らしい生産力(陸上の植物の約100倍の効率)を記録してビーグル号航海記で伝えているそうですが、その200年後の現代の海は荒廃し海の砂漠化現象(海藻類が枯れてなくなること)が世界的な規模で進んでいます。
また、日本国内では主に太平洋沿岸に発生し、伊豆半島付近ではこの様な現象を磯焼けと呼び、古くから知られています。

磯焼けの原因は、温暖化からくる海水温の上昇による貧栄養化と、工場・生活廃水・農薬(除草剤)等の流入による海水汚染等です。(海水の汚濁から光合成ができず海藻類が枯れてしまいます。)

谷口先生たちは豊かな海中林を蘇らせようと、植物プランクトンの成長に必要な無機栄養塩類が豊富で水温が低温と水質も安定性のある深層水(深度300m以深の海水)の利用と平行して人工種苗した海中林造成用ブロックを作り造成を実施しています。

CO2を吸収し、水質も浄化する海中林が蘇り、また海の幸が増え、沿岸漁業が発展すれば一石二鳥ですね。

それから、私たちにできることは、とにかく海を汚さないことですが、キッチンの流しは海の入り口だということをもう一度認識したいものです。