2021/06/03 19:38

「劣化競争」、この言葉は哲学者内山節氏の著書「怯えの時代」の中で知った言葉ですが、今まさにあらゆる産業で起きている現象ではないでしょうか。

デフレスパイラルで誰が勝つこともない消耗戦を戦い、品質は劣化しながら価格だけの競争に明け暮れ、挙句の果てには産地偽装や原材料のごまかし等々暇なく出る始末。

メーカーは生き延びる為に仕方なく安売り競争をしているか、させられているかですが、安売りが続くとまず合理化を考えて効率を上げようとします。
より早く見栄え良く作るとなると、やはり化学合成添加物の助けを借りるようになり、添加物の量は増えます。

それ以上により安くと安売りの限界を超えてくると、背に腹は変えられずメーカーとして一番したくない原材料等の質を落とすことになり、消費者側から見るとマイナスのことばかり考えるようになってしまいます。

まず高価な国産の原料は使用できず、すべてが安価な外国産頼みとなります。
豆腐も例外ではなく、原料大豆は外国産がほとんどで、国産大豆の自給率も4%そこそこと低いです。

また価格競争が進むにつれて、食の世界で怖いのは食品事故や事件。
昨年起きたあるステーキレストランチェーン店の食中毒のように、くず肉を集めて圧縮成型したサイコロステーキからO157の食中毒が出たり、汚染米を正規米として販売したりと確信犯的な事件も発生しました。

品質が劣化しながら競争に明け暮れた結果は、衣・食・住の本当に貧しい国となり、心まで貧しくなってしまいそうで心配です。

年も新しくなったことですし、もうそろそろ今年あたりは、「劣化競争」から「品質競争」へとチェンジしてほしいものです。