2021/06/03 19:46

民衆的工芸品のことを民芸という。
大正時代に柳宗悦が民芸運動を興して作られた造語ですが、私はこの民芸が好きです。
長年使い込まれた道具の美しさとか無名の工人達が作った器に魅せられたりしたことはありませんか?

手仕事の栄えた時代の暮らしは豊かだったように、食べ物の品質も良かったように思います。
以前、年賀状にも使わせて頂いた高橋由一画伯のとうふを描いた油絵を見ましたが、そこには炭火でこんがりと焼いた焼豆腐が中央に描かれてあり、当時の豊かな食生活が偲ばれます。
「手を掛けるも 味のうち」で、当時はとにかく食べ物作りに心くばりがあったように思います。

私の好きな河井寛次郎の言葉に「美を追わない仕事、仕事の後から追ってくる美」と云うのがありますが、私なりに勝手に解釈して美を利に置き換えると「利を追わない仕事、仕事の後から追ってくる利」となり、目先の利益に走ると良い仕事はできないというものづくりの原点を教えられました。

それから、民芸は大量生産・大量販売ではなく、少量生産・少量販売でもありません。
あくまで中量生産・中量販売でして、品質も良くリーズナブルなのが特徴です。
この民芸の精神を食品産業に取り入れると品質が随分と良くなると思いますが…

食べ物作りは少量で作るほうが良いのですが、あまり少量すぎると希少価値となり高価格になります。
またある程度量も作らないと原料生産者である農家等の応援もできなくなりますので、高品質が維持できる民芸の精神である中位の量を作り続けることが消費者にとって最善と思いますが、いかがでしょうか?