2021/06/03 19:48

代々碁石茶を受け継いでこられた六代目小笠原章富さん宅を7月25日に良い食品づくりの会中四国会員と一緒に訪問見学しました。

小笠原さんの自宅兼工場からの眺めは絶景でした。
真正面には標高1400mの梶ケ森があり、下には吉野川が流れ、朝夕の温度差もありお茶栽培にはもってこいの場所です。


小笠原さんの説明を聞くにつれて同じ後発酵茶でも富山の黒茶、阿波番茶、プアール茶などよりも2段階発酵というとても手間をかけた独特のお茶だとわかりました。


私は先代正春氏からのお付き合いですが、五代目正春氏が亡くなった時にこの碁石茶は一時途絶えかけ、章富氏が後を受け継いでくれたことで復活し、幻のお茶にならなくてすみました。
碁石茶は、よく幻のお茶というフレーズで呼ばれますが、この頃のことをいっているのでしょう。

章富氏は継ぐだけでなく、一軒だけでは心許ないと近隣の農家に茶製造に必要な微生物であるカビを分け与えて作り方を教えました。

現在では7軒ほどの農家が参加して新しく加工品も増えており、大豊町の産品として柱の一つになっているようですが、その反面、肝心の碁石茶の売価が高くなりすぎて売れなくなっています。(50gが2,900円ぐらい)

私が不思議に思うのは50gで2,900円という高額なお茶の栽培から加工まで手がける汗をかいた農家の方が潤わずにいる実態を見ると、どうしてこうなったのかと問いたい。

このままでは貴重な食文化でもある碁石茶を作る人たちが、いずれいなくなり、碁石茶が本当に幻になると思いますが、いかがでしょうか?